AMHってなに?
公開日: 2026-01-30
AMH(Anti-Müllerian Hormone:抗ミュラー管ホルモン)は、女性の妊活で、近年最も注目されているホルモンの一つです。血液検査で簡単に測れて、卵巣に残された卵子の数(卵巣予備能)の目安となります。AMHの値は、不妊治療の方針や治療のステップを決める上でとても重要な情報です。
1. AMHってなに? その役割と測る理由
① AMHはどこから分泌される?
AMHは、卵巣の中にある前胞状卵胞(ぜんほうじょうらんほう)という、排卵に向けてこれから育っていく段階の小さな卵胞から分泌されるホルモンです。
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量が多いほど値が高い: この前胞状卵胞の数が多いほど、AMHはたくさん分泌され、血液検査の値が高くなります。
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卵子の「残数」を反映: AMHは、今の「卵子のストック(残りの数)がどれくらいあるか」の指標として使われます。
② どうしてAMHを測るの?
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妊活の方針を決定: AMHの値が低い場合は、自然妊娠を期待するか、早めに高度な不妊治療(体外受精など)にステップアップするかの判断材料の一つになります。
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排卵誘発方法の決定: AMHの値が高い場合は、排卵誘発剤を多く使用すると卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という重篤な副作用のリスクが高まるので、向いている薬の量や種類を決めるのに役立ちます。
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どのタイミングで測ってもいい: FSHやLHなど、従来のホルモン検査は生理周期によって値が変わりますが、AMHは生理周期やホルモン剤の影響をあまり受けにくいため、いつでも測定できます。
2. AMHについて誤解してほしくないこと
よくある誤解1:「AMH値が低い=妊娠できない」ではない
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AMHが反映するのはあくまで「残りの数」だけで、「卵子の質」ではありません。
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妊娠できるかどうかを決めるのは、卵子の「数」より「質」(主に染色体が正常か)です。AMH値が低くても、卵子の質の良けば妊娠・出産は可能です。
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AMH値が低くても、年齢が若いほど質の良い卵子が採れる確率は高いため、妊娠・出産のチャンスはあります。悲観する必要はありません。
よくある誤解2:「AMH値が高い=安心」ではない
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AMH値が高すぎる場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が隠れている可能性があります。PCOSは排卵障害の一つで、卵子がたくさん育つものの、なかなか成熟・排卵しない状態です。
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AMH値が高い場合、排卵誘発剤を使うと卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になるリスクが高いため、治療中は慎重に管理する必要があります。
よくある誤解3:「AMH値は改善する」ものではない
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卵子の数は生まれた時から決まっているため、AMHの値を「増やす」治療法は確立されていません。一度下がったAMHは、基本的に元に戻ることはありません。
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生活習慣の改善やサプリメントを摂ることで、AMHの値が上がることはありませんが、卵巣の血流や環境(栄養状態)を良くすることで、残された卵子の質を高めるサポートはできます。
3. AMHの値は年齢や治療方針とどういう関係がある?
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年齢の目安 |
AMH値の平均値(ng/ml) |
治療への示唆 |
|---|---|---|
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20代後半 |
4.0前後 |
正常。自然妊娠の可能性が高い。 |
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30代前半 |
3.0前後 |
正常。計画的な妊活が望ましい。 |
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30代後半 |
2.0前後 |
卵巣予備能が低下傾向。半年以内に妊娠しなければ受診を推奨。 |
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40歳以上 |
1.0未満 |
低い。早めに高度な不妊治療を検討すべき時期。 |
平均値はあくまで目安であり、クリニックや検査機関によって値の基準は異なります。
治療方針への影響
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AMH値が低い場合: タイミング療法や人工授精などのステップを踏まず、最初から体外受精を勧められることがあります。
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AMH値が高い場合: 排卵誘発剤を使う際、OHSSを予防するため、薬の量を少なめにするなど、慎重に管理する必要があります。

まとめ
AMH値は、妊活で重要な「卵巣にある卵子の残数」を示す指標です。
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AMHの役割: 卵子の「残りの数(卵巣予備能)」を推測する。
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AMH値が低い=妊娠できないではない(卵子の質はまた別の問題)。AMH値が高い=安心ではない(PCOSやOHSSのリスクがある)。
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AMHを活かす:検査結果に一喜一憂せず、 妊活のために残された時間を確認して、「遠回り」することなく、妊活・不妊治療への取り組み方を計画的に決めるために役立てましょう。

