着床前診断(PGT-A/SR)って何?
公開日: 2026-02-13
着床前診断(PGT:Preimplantation Genetic Testing)は、体外受精(IVF)によって得られた受精卵(胚)を子宮に戻す前に、遺伝的な異常がないかを調べる検査です。これにより、流産のリスクを減らし、妊娠の成功率を高めることを目的としています。
PGTにはいくつかの種類がありますが、妊活で特によく耳にするのが「PGT-A」と「PGT-SR」の2種類です。
1. PGT-A(異数性検査)とは?
PGT-A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy)は、主に染色体の「数」の異常を調べる検査です。
検査の目的
受精卵の染色体の数が、正常な46本(23対)であるかを調べます。
**異数性(Aneuploidy)**とは、染色体の数が過剰(トリソミー:例としてダウン症候群)または欠失(モノソミー)している状態を指します。
染色体の数の異常は、流産の主な原因です。特に女性の年齢が上がるにつれて、この染色体異常を持つ卵子の割合が増加します。
PGT-Aのメリット
流産率の低下: 染色体異常のない胚を選んで移植するため、流産のリスクが下がります。
着床率・妊娠率の向上: 移植あたりの妊娠率が向上し、結果的に体外受精にかかる時間や費用の負担が減る可能性があります。
多胎妊娠の回避: 異常のない胚を一つだけ移植する(単一胚移植)ことで、双子などの多胎妊娠のリスクを減らせます。
PGT-Aが推奨されるケース
高齢での体外受精: 特に35歳以上の女性。
習慣性流産: 流産を2回以上繰り返している場合。
複数回の着床不全: 体外受精を複数回試みても、なかなか着床しない場合。
2. PGT-SR(構造異常検査)とは?
PGT-SR(Preimplantation Genetic Testing for Structural Rearrangements)は、染色体の「構造」の異常を調べる検査です。
検査の目的
両親のどちらかに**染色体の構造異常(転座、逆位など)**がある場合に、その異常が受精卵に遺伝していないかを調べます。
構造異常自体は、親には症状がないことが多いですが、異常を持ったままの胚は、流産や死産の原因になることがあります。
PGT-SRは、構造異常を持たない、または異常が遺伝していない胚を選び出すために行われます。
PGT-SRが推奨されるケース
夫婦のどちらかに染色体構造異常が確認されている場合。
構造異常が原因と見られる習慣性流産や死産の既往がある場合。
3. PGTの一般的な流れ
PGTは体外受精の過程で行われます。
採卵・受精: 通常の体外受精(IVFまたはICSI)を行います。
胚盤胞(はいばんほう)への培養: 受精卵を5〜7日間培養し、「胚盤胞」と呼ばれる状態まで成長させます。
生検(バイオプシー): 成長した胚盤胞の一部(将来胎盤になる部分の細胞数個)を、レーザーなどで慎重に採取します。この時点で胚を子宮に戻すことはせず、凍結保存します。
遺伝子解析: 採取した細胞を専門の検査機関に送り、PGT-AまたはPGT-SRの解析を行います。
診断・移植: 解析結果が出たら、異常のない「正常胚」と判断された胚を、次の周期以降に子宮に戻します(凍結融解胚移植)。

まとめ
着床前診断(PGT)は、流産や着床不全のリスクを減らし、妊娠成功率を高めるための高度な検査です。
PGT-A: 染色体の数の異常を調べる(高齢、習慣性流産、着床不全の方)。
PGT-SR: 染色体の構造の異常を調べる(夫婦に構造異常がある方)。
この検査は、日本産科婦人科学会が厳しく管理しており、受けられる施設や対象者は限定されています。 興味がある場合は、必ず専門の不妊治療クリニックで医師と十分な相談をしましょう。

