病院・クリニック検索はこちら

【体外受精】【IVF】体外受精とは?
体外で受精した胚を子宮へ戻す方法です。

体外受精は、妻の卵巣から、十分に成長して成熟した卵子を採取し、夫の精子と出会わせ受精を待ちます。受精した胚は、培養して妻の子宮内腔へと戻し妊娠を目指す方法です。
体外受精のプロセスは、(1)排卵誘発、(2)採卵、(3)採精および精子の調整、(4)受精、(5)培養、(6)胚移植の6つからなり、どのプロセスも重要です。
体外受精はIVFと表記されることもありますが、これはIn Vitro Fertilizationの略で、治療のプロセスから本来は、 体外受精-胚移植(IVF-ET:In Vitro Fertilization-Embryo Transfer)といいます。 また、卵子に精子を振りかける受精方法を通常媒精:コンベンショナルIVF:C-IVFといい、卵子の細胞質内に1個の精子を直接注入して受精させる方法を顕微授精:ICSIといい、 体外受精の受精方法としてこの2つがあります。

体外受精の病院選び

体外受精は、基本的には日本産科婦人科学会に登録のある不妊治療専門病院やクリニックで受けることができます。 病院検索からお住いの都道府県をクリックし、に●のついている治療施設からピックアップしてみましょう。 体外受精では、医師の専門性の高さが重要になってきます。チェックとしては日本生殖医学会から認定を受けた生殖医療専門医である、またほかにどのような専門や認定を受けているか、 所属している学会、発表した論文、これまで職歴などがポイントになります。また、培養技術の高さなども重要です。 最近では、多くの治療施設で培養室の紹介や胚培養士のコラムなどをSNSなどを通して情報発信していますので、それらもチェックし、よく読んでみましょう。

体外受精の適応は?

体外受精/通常媒精(C-IVF)の適応は、主に以下の6つです。

  • ①排卵に問題がある
  • ②卵管の通過性に問題がある
  • ③精子の数、運動精子の数に問題はあるが、精液調整後の精子の数、運動精子の数に大きな問題がない
  • ④抗精子抗体がある
  • ⑤性生活で妊娠できなかった期間が1年以上で一般的な検査で夫婦ともに問題が見つからない
  • ⑥妻の年齢が40歳以上である

体外受精(IVF)の治療周期は?

体外受精の治療周期は、排卵誘発方法によって違ってきます。
医学の進歩により、以前では諦めざるを得なかった無精子症などでも、妊娠・出産が望めるようになってきました。
ただし、「体外受精をすれば赤ちゃんが授かる」わけではありません。 妊娠率は生殖適齢期の女性で25~30%程度といわれていますが、30代後半から妊娠率は下がり、40歳以上になると一層妊娠が難しくなっていきます。
だからこそ、妊娠・出産の基本や、妊娠を妨げる原因と治療法に関する知識と情報を十分に持ち、体外受精に挑戦することが大切です。

完全自然周期法
完全自然周期体外受精
自然周期法
自然周期体外受精
低刺激周期法
低刺激周期体外受精
アンタゴニスト法
アンタゴニスト法体外受精
ショート法
ショート法体外受精
ロング法
ロング法体外受精

胚移植の方法は?

簡単に、胚移植の流れを説明しましょう。

  • ①移植胚の説明と確認

    胚移植日の血中エストロゲンとプロゲステロンの値、子宮内膜の厚さを調べます。
    移植前の診察で移植する胚の評価などの説明を受けます。

  • ②子宮頚部の洗浄

  • ③カテーテルの確認

    カテーテルの最終確認をする場合は、カテーテルを挿入して確認、使用するカテーテルを胚培養士に伝えます。
    少量の培養液とともに胚を吸い上げたカテーテルを胚培養士から受け取ります。

  • ④胚移植

    経腟超音波、または経腹超音波でカテーテルの走行を確認しながら、子宮内膜をつついたりしないように挿入していきます。
    胚を移植する場所は、子宮底の1cmくらい手前に、そっと置いてくるようにして移植します。

  • ⑤移植の完了

    カテーテルを抜き、胚培養士に渡します。
    胚培養士は、顕微鏡でカテーテルの内や外に胚が残っていないかを確認します。問題がなければ、胚移植は完了です。
    移植後、患者は処置台から降りて、歩いて着替えをした部屋へ戻ります。
    また、より胚が着床しやすくなるようさまざまな工夫があります。

    • アシステッドハッチング(AHA)

      胚は、透明帯という殻に守られて成長します。透明帯の役割は、成長するに従って数の増える細胞がバラバラにならないように守ることだといわれています。 しかし、着床するためには胚が透明帯から出て、子宮内膜にくっつかなければなりません。 通常、胚は拡張するに従って透明帯を押し広げて破り、さらに拡張して透明帯の開口部から徐々に脱出(孵化)し、完全に外へ出ると着床へと進みます。 しかし、胚を凍結すると透明帯が硬くなる傾向にあるため、その一部を開口して透明帯から脱出しやすいように助け(アシスト)ることをアシステッドハッチングといいます。
      レーザーで透明帯に穴をあける、または切り取る、酸性の溶液で透明帯の一部を溶かす、極細のピペットで透明帯の一部を切開するなどの方法があります。

    • 複数胚移植

      胚移植個数は、原則1個です。 しかし、妻が35歳以上の場合、または2回以上続けて妊娠が成立しなかった場合などについては、2個胚移植をすることもあります。 ただし、複数胚移植をすることによって多胎妊娠の確率が上がります。

    • SEET法

      一段階目に胚を培養した培養液を子宮に注入します。そうすることで、子宮内膜にシグナルが送られ、その後、胚盤胞を移植することで着床率が上がるとされています。

体外受精の妊娠率は?

体外受精による妊娠率は、日本産科婦人科学会に登録のある体外受精実施施設から寄せられる報告を元に、 治療周期数に対する妊娠率、胚移植周期数に対する妊娠率、治療周期数に対する生産率、妊娠数に対する流産率がそれぞれ毎年発表されています。

33歳以上のART 妊娠率・生産率・流産率 2017

出典:日本産科婦人科学会2017 ARTデータより改変

体外受精は、卵子を体外に出し受精させることが必要です。 そのため、確実に卵子を得られるよう排卵障害がない場合でも排卵誘発を行うことが多くあります。 また、自然な月経周期中で育つ卵子以外にも質の良い卵子があり、その卵子で妊娠し、出産が可能なケースもあることから、 なるべく多くの卵胞を育てて採卵し、体外で受精させる方法が広く行われています。 複数の卵子が確保できると、受精卵(胚)の数も複数できることが期待でき、移植できる胚の数にも期待できます。
また、一度の採卵で複数胚ができた場合、学会の会告で、移植胚は原則1個としているため未移植胚は凍結保存します。 そして、その凍結胚は融解して胚移植ができることから、どのような排卵誘発方法であっても、複数の卵子を確保することが望ましいと考えるのが一般的です。
「卵子の個数と生産率」については、採卵数が多いほど生産率が上がるというデータがヒューマンリプロダクトにあるあります。 1回の採卵で卵子が15~20個確保できるまでは生産率が上がり、20個を越えると下がる傾向にあるとしています。 ただ、卵子個数に対するサンプルとなる人数には年代的な特徴があり、全体的には4~15個採卵できたケースが多くなっています。 これは34歳以下と同様で4~15個採卵できたケースが多く、特に7~10個採卵できたケースが多くいます。 35~37歳では4~10個、38~39歳では3~8個、40歳以上では3~5個でした。採卵数は、年齢を追うごとに少なくなり、生産率については、 グラフの山の大きさに違いはありますが、採卵数が多いケースの生産率が高くなっています。
ただ、採取できる卵子の数は、年齢とともに少なくなる傾向があり、卵子の質も心配されます。 卵子の質は、妊娠の要であるため、過剰な排卵誘発による卵巣への負担は年齢以上に卵巣機能を低下させてしまうことや卵子の質の低下を招くと心配される声もあり、 卵巣機能の良し悪しに関わらず、卵巣に負担の少ない低刺激での排卵誘発方法を選択したほうが良いという考えもあります。

年代別卵子の個数と生産率

出典:Hum Reprod. 2011 Jul;26(7):1768-74.

こだわりの病院選び