【人工授精】【AIH】【IUI】人工授精とは?
精子の泳ぐ距離を短くして、卵子に到着しやすくする方法です。

人工授精は、妻の排卵に合わせて夫の精液を洗浄、濃縮し元気な精子を子宮腔内に注入して妊娠を目指す方法です。
これによって、精子の泳ぐ距離が短くなり、また洗浄、濃縮によって運動性のある精子のみに調整されるため、卵子に到着しやすくなります。
人工授精は、AIHやIUIと表記されますが、AIHはArtificial Insemination with Husband’s semenの略で、夫の精液による人工授精という意味です。
ちなみにドナー精子による人工授精のことをAID(Artificial Insemination with Donor semen)といいます。
IUIは、子宮腔内人工授精のことで調整した精子を子宮腔内に注入する方法です。このほかに、精子を子宮頸管に注入するや、
精子を卵管内に注入するなどもありますが、子宮腔内に注入するIUIが人工授精の一般的な方法です。
人工授精という言葉のイメージから、何か「人工的」に操作されると考えがちですが、人工的に行なわれるのは『精子を子宮腔内へ注入する』までで、その先は自然妊娠と同じ過程です。

人工授精は、不妊治療専門病院やクリニックだけでなく、大きな病院の産婦人科外来や産婦人科医院でも受けられるところもありますが、実施していないところもあります。
お住いの近くにある産婦人科などは病院検索からお住いの都道府県をクリックし、
に●のついている治療施設からピックアップしてみましょう。
不妊治療で妊娠に臨むカップルのなかでも、タイミング療法や人工授精までの一般不妊治療で妊娠することも多くあります。
一般産婦人科で人工授精を受けることはできますが、より専門的な知識と技術で受けたい場合には、不妊治療の専門外来のある病院や不妊治療専門のクリニックなどを検討しましょう。
人工授精の適応は?
①排卵に問題がない | ・低刺激の排卵誘発剤で排卵可能 |
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②卵管の通過性に問題がない | ・卵管の通過性に問題があっても子宮卵管造影検査で開通 ・卵管鏡下卵管形成術、腹腔鏡手術などで開通できた |
③精子の数、運動精子の数に若干の問題はあるが、精液調整後の精子の数、運動精子の数にあまり問題がない | ・服薬などで改善が見込める ・精索静脈瘤があり手術によって精子が改善された |
④フーナーテストの結果が良好でなかった場合 | |
⑤夫婦生活に問題がある場合(性交障害、勃起不全など) |
人工授精AIHが適当とされる精液所見は、WHOの基準に基づくと精液量が1.4mlより若干少ない、精液濃度が1,600万個/mlよりも若干低い、精子の運動率が42%よりも若干低いなどです。
精液は、人工授精、体外受精、顕微授精とも洗浄・濃縮します。 これは妊娠に結びつく元気な精子をピックアップするの主な目的ですが、人工授精においては、副作用を回避するためにも必要になっています。
精液には、子宮の収縮を促す物質(プロスタグランディン)が含まれ、また雑菌や皮膚組織、衣類の繊維が採精過程で混入してしまうため、そのまま子宮腔内に注入すると腹痛や発熱の原因になります。 これらを排除するためにも精子の洗浄・濃縮が必要です。

人工授精の治療周期は?
人工授精の妊娠率は、一般的に約5~10%といわれています。
また、人工授精で妊娠が成立した夫婦の約80~90%は3周期以内だったという統計から、人工授精を行う周期は5~6回までとしている治療施設が多いようです。
ただし、その中でも妻が30代後半や40代のカップルは、年齢を考慮して3回目くらいから体外受精へと治療法を切り替える検討を始めることが多くあります。
高年齢と人工授精の妊娠率、治療回数に関しては、2010年に130組の夫婦、242人工授精周期について38~39歳と40歳以上の2つのグループに分けて調査した発表があります(Fertil Steril. 2010 Jun;94(1):144-8)。
この調査では、それぞれ排卵誘発を行い、卵胞径16ミリでHCG注射をして12時間と36時間後に人工授精を2回実施。
また人工授精治療周期中の性生活をしないように指示し、臨床的妊娠であることを確認した結果を発表しています。
人工授精を受けた夫婦の不妊原因には、男性因子、排卵障害、子宮内膜症、卵管因子、原因不明などで、合計17例の臨床妊娠があり、このうち10例で子どもが生まれています。
38~39歳の全体の妊娠率は15.8%、1周期の妊娠率は9%で、生産率は5.2%でした。40歳以上では全体の妊娠率は12.3%、1周期の妊娠率は7.8%で、生産率は2%でした。
また、38~39歳では人工授精治療周期の最初の2回で生産率は伸びなくなり、40歳以上では最初の1回以降にメリットはないと発表しています。(※生産率=生きた赤ちゃんが生まれてくる率)
これらを踏まえると、高年齢であればあるほど、不妊治療に臨む場合には早めに体外受精を検討する必要があることがうかがえます。
人工授精で妊娠が成立しない理由として考えられるのは、卵管采が卵子を取り込むのが難しいピックアップ障害が疑われること、卵子の質に問題があること、精子の質に問題があることなどがあり、
これらは、一般的な検査ではわからないことから、人工授精を重ねても妊娠が成立しない原因になっているのではないかと考えられています。

人工授精の妊娠率は?
130組の夫婦の人工授精の回数と妊娠率、生産率

出典:Fertil Steril. 2010 Jun;94(1):144-8
人工授精は、妻の排卵に合わせて夫の精液を洗浄、濃縮し元気な精子を子宮腔内に注入して妊娠を目指す方法です。
これによって、精子の泳ぐ距離が短くなり、また洗浄、濃縮によって運動性のある精子のみに調整されるため、卵子に到着しやすくなります。
人工授精は、AIHやIUIと表記されますが、AIHはArtificial Insemination with Husband’s semenの略で、夫の精液による人工授精という意味です。
ちなみにドナー精子による人工授精のことをAID(Artificial Insemination with Donor semen)といいます。
IUIは、子宮腔内人工授精のことで調整した精子を子宮腔内に注入する方法です。このほかに、精子を子宮頸管に注入するや、
精子を卵管内に注入するなどもありますが、子宮腔内に注入するIUIが人工授精の一般的な方法です。
人工授精という言葉のイメージから、何か「人工的」に操作されると考えがちですが、人工的に行なわれるのは『精子を子宮腔内へ注入する』までで、その先は自然妊娠と同じ過程です。