不妊治療のQ&A
男性不妊
精子数が平均の1／100、運動率が20％以下。今後の治療についてアドバイスお願いします
もうすぐ結婚1年目を迎える夫婦です。1日でも早く子どもを授かりたいと思い、知人に紹介された産婦人科に結婚後すぐに通い始めました。
私は入籍前から検査を受けておりましたが、基本検査を再び受けました。その結果からタイミング療法を行なってみたもののなかなか妊娠しないため、先日、夫の精液検査を受けました。
すると、精子数が平均の1／100、運動率が20％以下という結果で、先生に『通常の夫婦生活での妊娠は望めないでしょう』と言われました。主人は体力には人一倍自信があり、自覚症状もまったくなかったため、ショックを隠しきれないようでした。
私も何をどうしていいのかわからず、涙が止まりませんでした。先生の勧めで先日人工授精を行ないましたが、前回と比べ精子数はさらに減少し、運動率も大変悪い結果に終わりました。
今後はあと2回人工授精を行ない、成果が出なければ顕微授精をと言われました。
質問は、第1に精子数、運動率の改善はまったく見込めないのでしょうか？（現在ゴシャジンキガン服用中）
先生は、原因はストレスとしかおっしゃいません。
第2に、3回の人工授精後、顕微授精に進む治療方針でよいのでしょうか？
私の年齢のこともあり（36歳）不安と焦りでいっぱいです。アドバイスよろしくお願いいたします。
ご夫婦で今を認めあい、楽しむことも忘れないでくださいね
ご主人の落胆、そしてあなたの悲しみ、いろいろなことを目の当たりにして大変でしたね。口で言うのは簡単かもしれませんが、それでも、この現状は現状として受け止め、それをご夫婦で受け止めたら、前向きに考え、夢に置き換えましょう。
夢のためなら、ふだん目についてしまうマイナス面もプラスへと転換でき、元気も出るかと思うのです。
きっとあなたも、今そのようなお気持ちでいらっしゃるかと思います。こちらからのアドバイスもそのための1つであることをご理解ください。
不妊治療を受けられる方が、多くいらっしゃることはあなたもご存知かと思います。そのうち男性不妊も原因の半数に及ぶと指摘されるのが、今の不妊の現状です。精子数の減少や運動率の低下については、環境（ホルモンなど）の問題を指摘する声があります。
ストレスに起因するのなら、ストレスを排除すれば元に戻ると考えがちですね。でも、ストレスを取り除こうと努めても、精子数も運動率も増えないとなれば、そう考えること自体、「どうして増えていかないのか？」「運動率の成績が上がらないのか？」という焦りや不安を生み、再びストレスへと結びついてしまうこともあります。原因は未解明＝不明と考えるのが良いと思うのです。
まずは現状で精子があり、運動率もあることから、「妊娠の可能性はある」と考えましょう。
そう考えれば、現在行なっている人工授精も意味を持つと思うのです。妊娠の可能性は低い方法だとしても、もし、妊娠できれば幸運なこと。また、顕微授精までの準備と思えば実施する意味を持つでしょう。3回が妥当かどうかは主治医とのインフォームドコンセント（患者側の質問と医師の説明、その相互の理解）で決めていかれれば良いかと思います。
治療の選択肢として、最初から顕微授精をすることもあるかと思いますが、いきなり顕微授精に進んだ場合、今以上にご主人の精子の質を否定してしまうことにもなりかねませんから、その意味からも価値を持つ人工授精ではないでしょうか。
できるだけご主人のストレスがないよう食事や睡眠、仕事や休養など生活面での工夫をして、採精時に精子の状況が良くなっているよう望みたいところです。
漢方は広く使われ、私たちが不妊治療施設に対して行なったアンケートでも約8割の施設で漢方を扱っていますが、効果がはっきりあると回答しているところは3割あるかどうかです。 あなたはご自身の年齢のことも気にかけているようですが、ご主人からしたら、『どうしてそんなに焦るの？まだ結婚して１年じゃあないの。子どもができない原因もやっとわかり始めたばかり。それを乗り越えるための結婚と思って、ふたりの子づくりを考えよう。それでいいじゃない』と思う気持ちもあるかもしれません。確かに女性には、妊娠、出産のタイムリミットがあります。年齢を重ねれば、卵子の質が低下してきます。
しかし、ご夫婦で今を認めあい、楽しむことも忘れないでください。
いつかお子さんができたら、今は一時のこと。生まれてきたお子さんに『パパもママもあなたに会うまでに大変なこともあったけど、あなたに会うこと、楽しみに待っていたのよ』と伝えられることも素敵だと思いませんか？
