マイクロ流体技術を用いた精子選別とは
マイクロ流体技術を用いた精子選別とは
マイクロ流体技術を用いた精子選別とは、正常な精子の頭部がギリギリ通れる大きさの膜(フィルター)が貼られた小さな専用デバイスを用いて、DNAの傷が少ないとされる精子を回収する方法です。このデバイスの中を泳いで、自力で膜の上に上がってきた良好精子を選別して、顕微授精に臨みます。この技術には、ザイモート(ZyMōt)やスイムカウントハーベスター(SwimCount™Harvester)などがあります。
この方法(ザイモートの例なので、ハーベスターと違う場合は、共通している部分のみにするか?)では、まず原精液(射精したばかりの精液)と培養液を本体に注入し、それを37℃のインキュベーター(培養器)に入れて、30分ほど静置します。その後、インキュベーターから取り出し、膜の上に上がってきた精子を回収します。
遠心分離機を使用しないため、遠心時にDNAが傷ついたり、ちぎれたりする懸念が少なくなります。精子調整にかかる時間は約30分で、個々の胚培養士のスキルによるばらつきもなく精子を回収することが期待されます。
<適応>
・1回以上の顕微授精を行っても移植可能胚が得られなかった場合
・胚移植を行っても妊娠が成立しなかった場合 など
適応があっても、数回の精液所見で運動精子数が極めて少ない場合は、このマイクロ流体技術による精子の選別が難しいこともあります。
<費用>
<期待できる効果と課題>
これまで胚盤胞にならなかった、または胚盤胞のグレードが低いなどの理由で移植に至らなかったカップルや、移植しても妊娠が成立しなかったカップルにおいて、胚盤胞に到達すること、または胚盤胞に到達する胚の数が増えること、胚盤胞のグレードがアップすることなどが期待されています。
良好精子を選別できることで、従来の密度勾配遠心法(リンク挿入:)やスイムアップ法(リンク挿入:)などによる調整と比べて、妊娠率の向上や流産率の低下が期待されます。卵子や精子の質の低下が懸念される高年齢のカップルでも、同じことが期待できるという報告もあります。
ただし、従来の方法よりも良好運動精子の回収数は少なくなるとされており、原精液の状態しだいでは、良好運動精子が回収できないケースもあるようです。







