タイムラプスインキュベーターとは
タイムラプスインキュベーター(タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養)とは
タイムラプスインキュベーターとは、インキュベーター(培養器)に内蔵されたカメラによって、培養中の胚を数分間隔(施設により異なる場合がある)で自動撮影し、インキュベーターから取り出すことなく、観察、評価、培養することができる技術です。タイムラプスインキュベーターは連続撮影・再生が可能なため、まるで動画を見るように、受精や細胞分割の様子、細胞のコンパクション(受精卵の分割が進んで各細胞が互いに密着すること)、胚盤胞ができていく様子などを観察することができます。また、時間を遡って観察することもできます。 インキュベーター自体は、胚培養を行うほかにも、胚培養で使う培養液をより培養に適した状態にするため、数時間(前日からの場合も)インキュベーター内で保管することもあります。 現在タイムラプスインキュベーターは、加湿型、無加湿型、AIを搭載したものなどがあります。
<適応>
・胚移植を必要とするカップル(初回の体外受精からタイムラプスインキュベーターでの培養を希望できる)
従来型のインキュベーターで胚の発育が途中で止まってしまったり、胚のグレードが低い場合は、タイムラプスインキュベーターでの培養を勧められることが多いようです。
すべての培養をタイムラプスインキュベーターで行う治療施設もあります。
<費用>
※保険診療では先進医療となるため、保険診療で体外受精を受けている患者では使わないケースもあります。
<期待できる効果>
インキュベーターは、光や温度、気相(酸素、窒素、二酸化炭素の割合)や湿度などの条件を女性の体内環境に模したもので、そこから体外に出すことは、胚にとってストレスとなります。ですから、インキュベーターから取り出して受精や胚の成長を確認したり、培養液を変える(培養方法による)ことは、胚に少なからず負荷を与えます。
タイムラプスインキュベーターを使えば、培養中に胚を器外へ取り出す必要がないため、胚へのダメージやストレスが減り、胚盤胞到達率が上がるとされています。また、胚のグレードをより細かく評価でき、移植胚の選択や移植の優先順位を決定する際にも役に立ちます。
取り出し時の事故や取り違えが起こるリスクを減らすことにもつながります。
タイムラプスインキュベーターを設置していない施設では、胚培養士は、できるだけ短時間で観察する、培養室内を暗くして観察するなどの工夫をしています。







