葉酸の必要性について

葉酸は、妊活中の女性にとくに摂取が必要といわれている成分です。
それはなぜでしょう?そこにはとても大切な理由があります。ここではその葉酸について、お話しましょう。

そもそも葉酸ってなんでしょう?

葉酸は、ほうれん草の葉から発見された成分で、水溶性のビタミンB群の一種(ビタミンB9)です。
葉酸には大きく2種類あり、1つは野菜などの食材に含まれる葉酸のことで、これをポリグルタミン酸型(天然)葉酸といいます。もう1つは、サプリメントや加工食品などに含まれる、モノグルタミン酸型(合成)葉酸といいます。
ポリグルタミン酸型は、いくつかのグルタミン酸とプテロイン酸でできていて、モノグルタミン酸型はグルタミン酸1つとプテロイン酸でできています。野菜などからポリグルタミン酸型を摂取すると、消化されてモノグルタミン酸型になり、小腸から吸収されます。

この葉酸の働きは、とても重要です。なぜなら葉酸は、体の中でビタミンB12と協力して血液をつくること、新しい細胞をつくるときにDNAを間違えて伝えないようにすること、また間違いがあったときには修正をして新しい細胞をつくる働きがあるからです。また赤ちゃんを望む夫婦にとって重要な卵子と精子も細胞ですから、卵子へと育つとき、精子へと育つときも盛んに細胞が分裂していくため葉酸が重要になることも考えられます。

このように葉酸は、新しい細胞や血液をつくるために大事な役目を担っていることから、妊活中の女性に限らず男性にとっても、またいくつになっても必要な成分ということがわかります。
また、この葉酸は体に貯めておくことができないため、日常的な摂取が必要です。

葉酸が多く含まれる食材

葉酸が多く含まれている食材は、野菜ではほうれん草、白菜、モロヘイヤ、枝豆、ブロッコリー、かぼちゃなど。そのほか、エリンギやまいたけ、えのきなどのキノコ類、魚介類ではウニなどにも多く、果物ではいちご、みかん、キウイ、アボカドなどがあります。
そして、納豆、レバーペースト、たたみいわしや焼きのりなどの食品にもあることから、食事の時に多くの食材や果物があれば摂取できるためバランスのよい食生活をすることでが大切です。

効率よく葉酸を摂るための調理法は?

葉酸は、水・熱・光に弱いため、栄養が失われないよう調理法を工夫しましょう。例えば、生の白菜には100gあたり約60µgの葉酸が含まれていますが、茹でるると40µgに減ってしまいます。しかし、赤パプリカやゴーヤなどは、炒めても葉酸の量は100gあたり約70µgと、生の状態とほとんど変わりません。これらに関しては、生の状態だけでなく加熱処理をした後の栄養価が表示されている本などを参考にして調理をしましょう。
ただ、食事から摂取する天然葉酸は、食材によって、また一緒に食べる食品によって、体への吸収のされ方に違いがあり、バラツキもあることがわかっています。一般的には、体内に吸収されるのは50%程度といわれています。

野菜中心の食事が習慣になっている方は1日の摂取量も比較的クリアしやすいようですが、「野菜をあまり食べない」「外食が多い」という方は注意をしましょう。また、タバコやアルコールが葉酸の吸収を邪魔することもあります。タバコは吸わない、そして副流煙を吸わせないこと。アルコールはほどほどにしましょう。これは、お子さんを希望する夫婦にとっての基本的な注意です。

1日の摂取量と必要理由は?

1日の葉酸摂取量と摂り方などについて、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書』の担当者に直接お話を聞ききました。

1日に必要な葉酸の摂取量は、成人男女とも240µg(240マイクログラム=0.24mg)で、これが基準推奨量となります。妊娠している方は480µg(基準推奨量240µg+240µg)、授乳をしている方は340µg(基準推奨量240µg+100µg)を食事から十分に摂取するように勧められていますが、妊活中の女性は1日に必要な240µgに加えて400µgを摂取するように推奨しています。

妊活中の女性に葉酸摂取が勧められる理由は、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを予防することにあります。胎児がさまざまな器官をつくり発達成長していくためには、細胞の働きに深く関係する葉酸がとても重要な成分となります。そのため、妊娠を計画している女性、または可能性のある女性は葉酸の摂取が重要だといわれています。普段からしっかりしたバランスの良い食生活を送ることが大切ですが、日頃の食事から通常摂取した方がいいと勧められる240μgに加え、妊活中の女性に必要な400μgの葉酸については、「吸収率の良い合成葉酸(モノグルタミン酸型)」が推奨されています。この400μgの葉酸を食生活から摂取するためには、天然葉酸(ポリグルタミン酸型)の吸収率から考えると800μgの葉酸を摂取することが必要になり、普段葉酸を摂るために食べる2倍くらいの食材が必要になります。これに比べ、サプリメントなどに含まれる合成葉酸(モノグルタミン酸型)は吸収率が良いため、食事から葉酸を十分に摂ることに加え、吸収率の良い合成葉酸をサプリメントなどから合わせて摂取することが勧められています。

摂取する人 推奨摂取量(1日あたり)
成人女性・男性(基準推奨量) 240µg
妊婦 480µg(240µg+240µg)
授乳婦 340µg(240µg+100µg)
妊娠を希望する女性 240µg+400µg(*)
*基準推奨量240μgに加えてサプリメントなどから摂取する推奨量

葉酸が不足するとどうなるの?

葉酸が不足すると、からだにどのような影響があるのでしょう。

①貧血になりやすくなる。

葉酸が不足すると、血液を運ぶ赤血球を正常につくることができなくなるため、貧血(巨赤芽球性貧血)を起こしやすくなります。日頃から野菜を中心とした多くの食材で、朝・昼・夕の食事をしている方の心配は少ないのですが、偏食や外食の多い方は心配です。
また、妊娠中の女性は胎児へ栄養を送るため、自身の葉酸が不足になりがちになり、貧血も引き起こしやすい状況があるため、これを支えるために食事から栄養とともに葉酸を十分に摂ることが大切です

②粘膜の保護が不十分になる

口や鼻の中、胃や腸などさまざまな器官に粘膜はあり、この粘膜は細胞でできています。常に新しい細胞がつくられることで、粘膜はその機能を保っています。
葉酸は、新しい細胞をつくるために働きますが、不足すれば新しい細胞がつくられにくくなるため、粘膜の機能も損なわれ荒れてしまいます。
口の中の粘膜が荒れれば口内炎に、胃の中の粘膜が荒れれば胃潰瘍になりますが、ここに葉酸不足が関係していることがあります。

③妊娠初期の葉酸の不足が、胎児の先天性異常につながる

妊娠初期には、脳や脊髄などの中枢神経系のもとである神経管がつくられます。この時期に葉酸が不足すると、赤ちゃんの発達に影響し、神経管閉鎖障害の発症リスクが高まり、赤ちゃんが先天異常を持って生まれてくることがあります。
この神経管閉鎖障害には、神経管の下部に閉鎖障害が起きる「二分脊椎」と神経管の上部に閉鎖障害が起きる「無脳症」があります。
二分脊椎は、脊椎の骨が神経組織を覆っていないことから、下肢がうまく動かせない運動障害や、おしっこやうんちをコントロールできない膀胱・直腸機能障害を引き起こすことがあります。
無脳症は、脳が十分につくられなかったことから額の上がなかったり、頭部のほとんどがつくられない状態になります。無脳症の場合は流産になりやすく、また死産か、生まれても1週間以上生きることは稀です。そのため無脳症と診断されたときに、人工妊娠中絶を選択する方も少なくありません。

これら障害がすべて葉酸不足から起こるというわけではありませんが、ママになる女性が葉酸を十分に摂ることで子どもの障害発症リスクを低減できるため、妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月くらいまでは葉酸を十分に摂取することが勧められています。
妊娠1カ月前は、今日かもしれません。ですから「赤ちゃんが欲しい!」「ママになりたい!」と思ったその日から、葉酸を十分に摂るようにしましょう。

葉酸の摂り過ぎに注意!

普段の食生活から十分な葉酸摂取をすることが基本です。葉酸が多く必要となる妊婦さんや授乳期中の女性であってもサプリメントに含まれる合成型葉酸を摂取するときには、過剰摂取なりやすいため注意をしましょう。
妊活中の女性は食生活から十分に葉酸を摂ることを基本に、サプリメントを合わせて摂りましょう。その際も、過剰摂取にならないようサプリメントから摂取する量を守りましょう。

葉酸を摂ろう!

葉酸は、女性が妊娠して出産していく時にはとくに赤ちゃんのために多めに必要となる大切な栄養成分であるということ。また、不足したり過剰摂取した場合、何が引き起こされるかをお伝えしてきました。
日頃、口にする食材で私たちの身体はできています。大切な葉酸をしっかり摂取して健康を守り、妊活時期にはプラスしてサプリメントなどの食品からもしっかり摂取しましょう。

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