不妊治療とは?【保存版】一連の流れや保険、先進医療についても

目次
不妊治療とは?
不妊治療とは、妊娠を希望しているのに妊娠が成立しない夫婦やカップルのためにおこなう治療のことです。
不妊の定義について、日本産婦人科学会では以下のように説明しています。
“「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。”
引用:日本産科婦人科学会
ただし、こちらはあくまでも定義であるため、例外として半年程度の期間でも不妊と判断される場合もあるようです。
不妊治療には、さまざまな方法やアプローチ、または組み合わせがあり、それぞれに合わせた治療がおこなわれます。
不妊治療の種類
不妊治療は仕組みが複雑ではじめはわかりにくいと感じる人も多いようです。ネット上でもさまざまな言葉で記載されていますし、分類のされ方も異なるので、混乱を招きやすいのかもしれません。ここでは実際治療を受ける場合に把握しておきたい順番で、不妊治療をご紹介していきます。
Check‼保険適応の条件
一般不妊治療の保険適応では年齢と回数に制限はありません。
年齢と回数:(生殖補助医療だけ)
初回治療開始時点での女性の年齢 | 保険適応の回数上限 |
---|---|
~39歳以下 | 「胚移植」通算6回/1子ごと |
40~42歳以下 | 「胚移植」通算3回/1子ごと |
43歳以上 | 保険適応外 |
不妊治療に関する支援について
※回数は「胚移植」をカウントしています。
※妊娠12週以降の流早産はカウントされません。(12週未満での流産は1回にカウントされます。)
※治療中に43歳を迎えるとその周期の胚移植をもって保険適応が終了となります。
保険適応【一般不妊治療】
保険診療、保険適応などと呼ばれる不妊治療は、大きく分けると「一般不妊治療」と「生殖補助医療」の2つになります。まずは一般不妊治療についてご説明していきます。一般不妊治療には、人工授精とタイミング療法があります。
タイミング療法
タイミング療法とは、検査の結果や卵胞の大きさ、ホルモンの分泌状態から、医師が排卵日を予測し、指導する療法です。卵がうまく育っていない場合には、排卵誘発剤を使うこともあります。治療期間は約6周程度です。
人工授精
採取した精液を洗浄濃縮して運動性のある元気な精子を排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入する方法です。治療期間の目安は3~6周期となります。
保険適応【生殖補助医療】
生殖補助医療は英語でAssisted Reproductive TechnologyでARTと呼ばれることもあります。生殖の問題に対処するためのさまざまな治療法の総称です。
採卵・採精
「採卵」とは、女性の卵巣から卵子を収集することを指します。また、「採精」とは、男性の精子を収集することを指します。不妊治療や生殖補助医療の一環として行われます。
体外受精
体外受精(In Vitro Fertilization、IVF)は、卵子と精子を体外で受精させ、その後受精卵を子宮内に移植する生殖技術の一つです。
卵子を体外に取り出し、精子をふりかけて受精させる方法です。
顕微授精
顕微授精(Intracytoplasmic Sperm Injection、ICSI)は、体外受精(IVF)の一種であり、卵子を受精させるために精子を直接注入する技術です。
ICSIは通常、男性の精子の数や運動能力が低い、または他の理由で自然受精が困難な場合に使用されます。顕微鏡を用いて選択した一個の精子を直接卵子に注入して受精させる方法です。
胚培養
体外受精や顕微鏡受精で受精した受精卵を特定の培地中で適切な条件下で成長させることを意味します。
胚移植
胚移植は、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)などの技術をによって授精し成長した胚を女性の子宮内に戻す(移植する)ことを指します。
凍結保存
移植可能な胚が多く得られた場合や、女性の健康状態などに合わせてより高い妊娠率を目指して、胚を凍結しておく場合もあります。
不妊治療の保険適応については、下記の関連記事でより詳しくお伝えしていますので、合わせてご参照ください。
不妊治療の保険診療について
保険適応外【先進医療】
不妊治療における先進医療とは、厚生労働大臣が承認した高い医療技術のこと。先進医療は、将来的に保険適用が検討されているものの、まだエビデンスが不十分である場合などに該当します。
先進医療は保険適応範囲の技術ではありませんが、保険診療と併用して取り入れられることがあり、不妊治療施設や医師の方針などによって治療の種類や進め方も異なります。
保険適応の条件を満たしていない場合だけでなく、保険適応外で先進医療と呼ばれるより最新で進歩的な治療もあります。保険適応範囲の技術ではありませんが、保険の技術と共に使用できる場合もあります。
先進医療の種類は以下の通り。
目的 | 区分 | 種類(名称) |
---|---|---|
受精 | A | IMSI |
A | PICSI | |
精子選別 | A | マイクロ流体技術を用いた精子選別 |
胚培養 | A | タイムラプス |
着床環境 | A | 子宮内膜受容能検査 (ERA) |
A | 子宮内膜受容期検査 (ERPeak) | |
A | 子宮内細菌叢検査 (EMMA/ALICE) | |
A | 子宮内フローラ | |
A | 子宮内膜スクラッチ | |
胚移植 | A | SEET法 |
A | 二段階胚移植 | |
反復着床不全 | B | 反復着床不全に対する投薬 (タクロリムス) |
着床前胚 | B | 着床前胚異数性検査 (PGT-A) |
先進医療についてはこちらのページでさらに詳しくご紹介していますので、併せてご参照ください。
情報誌Vol71では先進医療についての特集だけでなく、実際に先進医療を取り入れている医師のお話やインタビューも載せています。
不妊治療と先進医療 i-wishママになりたい
不妊治療の種類:まとめ
不妊治療は、身体のホルモンバランスや持病、体質といったさまざまな要因によって治療法がかわるため、
①信頼できる医師との関係性
②自身の不妊治療や妊娠に関する知識
が必要不可欠となるのです。
特に先進医療などは患者さん側にも判断をゆだねられる場合や、相談して決めることも。少しでも不安やストレスを軽減しながら不妊治療をおこなうために、できる限り準備しましょう。
下記では実際に情報誌でお話を伺った医師や医院などを多数ご紹介しています。信頼できる病院探しのために、ぜひご活用ください。
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