若い力で明日の医療に向かう国立病院機構・埼玉病院。そこで出会った『心にやさしい産婦人科〜小児科医療』をさぐる。
子どもを産み育てる女性の健康を総合的に診る大切さと安心医療
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歴史を感じる趣のなか、まずは、敷地内の木々の緑が豊かな気持ちを与えてくれる病院
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埼玉病院の診療内容
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埼玉病院の診療科目は、循環器科、心臓血管外科、神経内科、脳神経外科、内科、消化器科、神経科、小児科、外科、整形外科、産婦人科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科、精神科、呼吸器科、現在休診中の歯科です。総勢400人のスタッフが従事しています。
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はじめに
今回取材した国立病院機構・埼玉病院は開設65年の病院です。昭和16年7月20日に白子陸軍病院として創立された同病院は、昭和19年4月1日に振武台陸軍病院と改称し、終戦の年(昭和20年12月1日)には厚生省に移管されて「国立埼玉病院」となりました。
そして、平成16年4月1日、独立行政法人に組織変更「独立行政法人国立病院機構埼玉病院」として今日に至っています。
『i-wishママになりたい』の取材では、少子化の時代の流れや子どもを望んでもなかなか授からない不妊症を取り上げてくる中、まだまだその歴史は浅く、設備も人も新しさが目立っていました。
今回の『心にやさしい病院特集』では、そもそも病院とは?
という追求心からの展開ができることから、私たちの視野は格段に広がります。
少子化のなか、産科にとっては分娩を扱う医師の減少や対応施設の減少が問題にもなっていますが、その一方、医療の質の問題から起きる事故や訴訟問題も大きな課題となっています。
不妊治療にとっては多胎の問題やリスク面、妊娠時の母子の健康や産後のお母さん、生まれたお子さんの健康なども気になります。
それらの流れを見ていくうちに安全とトータルケアが大きなキーとなることは承知のところです。
大きな課題を背負って発足した国立病院機構、その中で埼玉病院がめざすもの
その時、「そもそも国立病院の果たす役目は大きいのではないか、こうした問題こそ国立病院がいち早く対策に貢献し、啓発の役目も担っていて、きっと安心できるはず」との印象を誰もが少なからず持っていることでしょう。
その印象は健在なのでしょうか?
時代とともに、さらにその信頼性を強化し、経営体制も見直そうと国立病院機構が発足したのは平成16年、わずか一昨年のことでした。
脈々と受け継がれながら進歩する医療の世界のなかで、埼玉病院にも新しい息吹が、若さをパワーに心地よく吹き込んでいました。
女性が受診する場所だから女性スタッフ中心に、最適の優しさが繰り広げられている産婦人科
産婦人科外来では

目指す産婦人科外来は玄関から左へ、途中の廊下も明るく、待合室につくと取材までの待ち時間の間にも、こまめに患者さんに寄り添い説明・案内をする熟練看護師さんの姿が目に留まりました。
待ち時間、何の気なしに本のラックに目をやると、見慣れた鮮やかなブルーの本誌(i-wishママになりたい)が目につきました。その自分達の本を外来待合室で改めて見てみると、企業や商品情報がなく、医療情報がメインでありながらの雑誌スタイル。待ち時間に我が誌の反省とは!?
やがてお会いできた田中医長は、系列病院でも唯一30代の女性産婦人科医長。8時間9時間のオペでも平気で対応し、夜勤もこなすというバイタリティーあふれる医師。それは医師なら誰もが持ち合わせているはずなのでしょうが、やさしい笑顔からの印象となると、また違った安心感とエネルギーを感じてしまいます。
先生が自ら、i-wishの本を手に「いろいろな先生が出ていますね。あの先生は同期で」などと話されると、初対面でも話は一気に弾み出し、きびしい医師教育を受けて来られた先生を前に一種共通点を見出せた安堵感で場は和みます。
一通りの話を終えると、いよいよ、院内の案内が始まりました。
診察、そして検診では

「産科施設、新生児室を案内する前に、丁度いま妊娠4ヶ月の看護師がおりますので、モニターをご覧になります?」
そう言って先生がスタッフに声をかけると、すぐに看護師さんがやってきました。
「モニター見れるんですね。嬉しいわ」と言って、さっそく協力してくださいました。
先生は私たちに、「今の超音波診断の機械は性能がよく、本当によく見えるんですよ」と話し掛けながら準備すると、間もなく、画面には胎児の姿がしっかり映し出されました。
「今日はよく動いているわね。良かったわ、ほら手もこんなよく見えて。心臓も。どれどれ、どっちかな?今日ははっきり見えるかな?」
「えぇ、先生もう分かります?どっちどっち?」
「いやぁ、まだはっきりは確定できないですね」
「いつ確認できます?」
たのしい会話が続きます。
なるほど、本当によく私たちにも見えます。
妊娠中の超音波モニタリングは、今や胎児の健康や発育状態を見るのに欠かせません。それゆえ、見え過ぎる映像からの診断には熟練も要し、誤診をしないための勉強会も開かれ始めています。
妊婦検診は通常の場合、7か月までは4週間に一度、妊娠8〜9か月には2週間に一度、10か月になると毎週行ないます。
検診ではお母さんの血圧、体重を測定し、尿検査をして健康を確認していき、超音波診断では胎児の成長を測っていきます。
検診が終わって妊婦さんが去ると、先生は私たちに話されました。
「今はこうして幸せなシーンですが、とくに私の場合は、婦人病となる子宮筋腫やがんなどの外科的治療が専門です。多くの女性患者を診ながら、子どもを儲けていく上での生殖適齢期に関係する病気への啓発には気を配っています。
婦人病でお亡くなりになられた患者さんを見送った直後に、出産に立ち会うなど、ここでは両極端のシーンが展開される時もあるんです」
そのシーンを味わっているからでしょうか、田中先生がやさしい表情に強い気持ちを込めて話されました。
「婦人病は若い時からの検診が大切です。将来に向け子どもを計画していくのに不都合が生じないか、などのチェックもこれからますます必要になってくることでしょう。ブライダルチェック的なカップル診察、未婚、既婚を問わず、『ちょっと検査してみよう』というのも大切になって来るかもしれませんね。
今ある不妊治療においても、これからは予防するための医学も進むことでしょう。
いずれ妊娠したら、適切な医療が受けられる安心した環境で出産し、夫婦ともに健康で、しっかり育てていくことが肝心です。そのために私たち医療スタッフがいかに皆様のお役に立てるかが、『心にやさしい病院』の条件につながります。
妊婦検診も定期的に受けることで、見落としてはいけない妊娠中の病気や異常症状の早期発見〜早期治療や対応にも効果が発揮できますから、医療側と患者側がともに検診を大切にしていく気持ちを持つ普及活動も必要です」
話しながら、先生は立ち上がると、「では、少し院内を案内しましょうか。産科病棟からがいいですね」と、軽やかに続けました。
出産から産後のケアまで

新生児室ではガラス越しに3人の赤ちゃんが見えました。
赤ちゃんのオムツを手際よく替える看護師。
両手で包み込むように大事に赤ちゃんを抱き、目を見つめながら話しかけるように慈しんでいる看護師。
「泣いている時には、お母さんを呼んでくださいね!」
お部屋で休んでいるお母さんに代わって、大切な赤ちゃんを預かる新生児室。
授乳時にはお母さんがやってきます。その間にも看護師の慈しむ姿が目に映ります。
ガラス越しの私たちからは、半ば背を向けた格好で、淡いピンク服のナースと産まれたばかりの赤ちゃん。真っ白な産着に包まれてご機嫌そう。西側の窓からは自然光が差し込み、その姿を輝かせています。
ほどなく登場したお母さんも幸せに満ちた表情です。
主役のお母さんと赤ちゃん、あたたかい世話を欠かさないスタッフ。入口にまわると、こちらでは助産師さんが赤ちゃんを抱いています。その姿は、さすがに頼もしそう。
新しく母になっていく時、病院(出産場所)から得る情報は育児への大切な知識となります。
ここ、埼玉病院は、豪華を誇る分娩施設という訳ではありませんが、こうした若く明るいスタッフに好感を寄せながら、総合的な医療を期待できる安心感からか、出産の場として選んでくるお母さんが増えていると田中先生は話します。
「もっと増えるといいですけど」と、医長としての意欲も見せながら、真新しい分娩台を備えた分娩室、隣りの陣痛室、沐浴室などを案内してくれ、最後に「ちょっと患者さんの了解を得て個室を見せてもらいましょうか?
かわいい赤ちゃんがいるわよ」と、屈託のない笑顔で早速、個室のドアをノックして了解を取ってくださいました。
「お邪魔しま〜す」
「赤ちゃんって、やっぱり、かわいい〜
!」
赤ちゃんを眺めながら、お母さんにお聞きしました。
「どうしてこちらの病院を選んだんですか?」
「総合病院なので安心感があって選んだんですよ」
お母さんの顔が赤ちゃんを前にいっそう穏やかになります。
それにしてもここだけの話、やっぱり「赤ちゃん、お母さんに似ていますよね」
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埼玉病院での分娩数は年間300弱、まだまだキャパはありそうです。
では、次に小児科病棟をご案内しますね。
「小児科も若い先生が多く、雰囲気はとてもいいんですよ」
先生の軽やかな言葉につられ、カメラ片手に院内を歩き出すと、タイムスリップしたかのような雰囲気の通路が広がりました。その空間が歴史を物語り、窓越しの木々や雑草と相まって伝える雰囲気に、その中で息づくあたたかい人の工夫が加わる独特の印象です。
地域のお子さまの健康を願い、親切な医療を心がける埼玉病院・小児科
(小児科ならではの工夫が心和ませます)
迫力のデコレーションが心に残るエントランス

さらに小児科病棟に入るエントランスからが、その醍醐味です。そんな風景には見慣れているのでしょう、エントランスからスタスタと先を行く先生を横目に、壁に大きく装飾られたアニメキャラクターの切り絵の出来に見入っていると、やがて先生は歩を止め、振り向きざまに笑顔を送ってきます。写真を撮リ終え、先生を足早に追いかければ、スタッフステーションに到着です。ここにもホームメイドなデコレーションが施されています。
小児科スタッフがカンファレンスのできる部屋に入って紹介された医師こそ、田中先生がモハンサムメと紹介の新生児・乳児健診・喘息を専門とする真路展彰先生。
お子様の健康を願い、親切な医療を心がけてノ

真路先生に埼玉病院・小児科の特徴をお聞きすると
「そうですね。当病院の小児科は、地域の医師会との連携を密接にして小児全般にわたる疾患を扱い、地域のお子様の健康を願って、健診や予防注射にも取組んでいるということです。病院全体にいえることですが、特に親切な医療を心がけています」
との答えが返ってきました。
続いてNICU(新生児集中治療室)で検診されるところを見学していると、さらに先生が話されました。
「うちの小児科は、外来も専門性にかんがみ、腎臓外来、喘息・呼吸器外来、心臓外来、育児相談および予防注射外来を毎週1回、さらに神経外来を月2回、内分泌外来を隔月で設けています」
必要不可欠な新生児ケア

出産後に欠かせないのがお母さんへのケアと、産まれて来た新しい命のケアです。健やかであることを願いながら、普通であれば通常の新生児検診(健康診断)、何らかの症状があればそのケアに勤めるのも病院の役目です。ここ埼玉病院には出産時にリスクのある母子が近隣の産科施設・開業医から搬送されてくることもあるそうです。帝王切開の中でも大きなリスクを背負っているケースや早期出産、多胎などの例ですが、特にそうしたケースでは分娩後、NICUが必要になってきます。
文明の発達とともに社会では忘れがちな安全性と、見落としやすい危険な状態。ノいくら医療技術が進んだからといって、出産時の危険や異常の発生率が減った訳ではありません。安易に考えすぎれば、大事を引き起こします。ましてや人間社会、間違った思想や慣習、組織の利益追求がその大事の原因になることさえあるのですから。
これらの回避にも『心のやさしさ』が重要な役を果たしています。
とりわけ、全国の国立病院機構にその啓発のひと役を委ね、日本の病院や医療の改善〜進展を期待したいところです。
それが今の産婦人科組織、小児科組織の将来にも結びつく一歩。その一歩が少子化日本の明日への原動力にもなることでしょう。
そのための母子安全の確保でもあることを、ぜひ覚えておきたいものです。
そう思えば思うほど田中京子先生も真路展彰先生も、スタッフのみなさんも頼もしく思えて来る今回の訪問でした。
※以下、詳しくは『i-wishママになりたい/心にやさしい病院特集号』をご覧下さい。