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取材記事

できれば薬を使わずに治療周期に臨む!その良さが確信として強まりました。

公開日: 2017-07-12

あいだ希望クリニック 会田 拓也院長のお話
2016年4月発行『i-wish ママになりたい 不妊治療のギモン』

 

本来、出会うはずの卵子と精子が出会っただけ!それが自然周期採卵の体外受精です。

 開院から約2年が経過しましたが、診療方針に変化はありません。卵巣刺激の薬を使わない自然周期で、体外受精を中心にこれまで治療をしてきました。 

 開院当初に比べ、排卵誘発剤を使うことは少なくなってきています。 というのも、当院では、完全自然周期でも採卵数は2~5個採れることが多く、排卵誘発剤内服時と変わりがありません。 

 それならば、卵巣へのダメージのない完全自然周期のほうがよいと考えていますし、またそれが確信へと近づいています。
「この患者様の場合はホルモン値がこれぐらいなら反応はこうなるだろう」といった予測も可能です。 

 患者様の顔と名前が 一致する当院では治療周期による微妙な変化まで把握することができ的確な診療が行えます。それが患者様にとって利点であり、開業してよかったと感じることです。 

患者様が増え、医師が増えてもその方針は変わらず続けていきます。 

 最近は卒業された患者様に勧められてきたという方も増えてきています。 

 神田という交通の便のよい立地なので患者様はいろいろなところから来られます。遠方から通ってこられる方も多く、なかには東北からこられる方もいらっしゃいます。 

 

患者様の状態に合わせて決める治療

 患者様の2割ほどは初めて不妊治療を開始される方です。 

 当院は体外受精を中心に診療をおこなっていますが、問診内容や検査結果から、患者様の状態に適した治療法を提示いたします。 

 そして、その治療がどのように妊娠に対して有効なのかを理解していただいてから治療を始めるように努めています。

 

自然周期採卵を希望される患者様が増えている

 体外受精については、最初から自然周期を希望されていらっしゃる患者様もいますが、たまたま当院に来られる方もいます。

 ですから、自然周期がどういうものか、どうして当院が自然周期に力を入れているのかを初診時に30分~1時間ほどかけて話すようにしています。もちろん体外受精がどういうものかということも、しっかりお伝えしています。 

 この説明は転院されてきた方、すでに体外受精をしたことのある方にも同じようにいたします。というのも、他院で体外受精をしていても、「どうして体外受精をするのか」という理由をきちんと理解されている方が少ないからです。 

どうして体外受精が必要なのか? その理由をしっかり説明することが大事です。 

 たとえば「人工授精で妊娠しないから体外受精をします」といったあいまいな理由で体外受精を受けた方も多いのが現実です。でも、体外受精が必要なのは「卵子と精子が出会えない」「受精しない」といった理由からで、そこを理解して治療を受けるのがとても大切なことです。ですから必ずお伝えするようにしています。

 

自然周期採卵を続けてきて感じていること

 自然周期で採卵をしてきて、薬を使わないほうがいいという気持ちは強まり、確信に近づいているというお話をしましたが、それは女性の年齢にも通じることです。

 現在、通院されている患者様には40~42歳くらいの方が多くいらっしゃいます。 

 もともと薬で刺激をすることなく自然に育ってきた卵子を採取する方法を主流にしていますが、年齢が上がれば上がるほど薬で卵巣を刺激する方法よりも薬を使わない方法が適してくるようになります よく自然周期だと1個しか採卵できないといわれますが、そんなことはありません。

 2個、3個と採卵できる周期もあります。薬を使って刺激したときと、ほとんど変わりがありません。だとしたら薬を使わないほうがいいでしょう。

 

今後の治療に向けて考えていること

 今後はより自然な妊娠を目指していきたいです。卵子はなるべく自然な状態で採卵し、精子の調整についても自然に近づけ、そのうえで受精を目指す方法がいいと考えています。
 卵子は自然周期で育ったものを使い、精子は卵子に選ばせる形にすれば、体外受精という方法ではあるけれど、その出会いは自然妊娠と変わらないともいえるでしょう。

 

どうして卵子と精子が出会えないのか、その理由を知ること

 卵子と精子が出会えないのは、精子が卵管に入れないか、卵子が卵管に入れないかのどちらかです。このうち精子が卵管に入れるか否かはヒューナーテストや卵管造影検査で確認できます。 

 一方、卵子の場合、排卵の有無についてはエコーなどで検査をするとわかりますが、検査でわからないのが卵管采の状態です。排卵の様子を記した図では、卵子が卵管に飛んでいくように描かれていますが、実際は卵管が卵子を迎えに行っている(ピックアップ)といわれています。ここに問題があるといわれるのがピックアップ障害です。ただ、その方の卵管がどのように卵子を迎えに行っているのかを今の医学で確認することができません。腹腔鏡だったら確認できると思われるかもしれませんが、腹腔鏡検査をするとなると体内にガスを入れるなど自然とは異なる状態にすることになり、結局、その方の卵管采がどのように卵子をピックアップしているのかを自然な状態で確認することはできないのです。 

 ですから、一通りの検査をしても不妊の原因がわからないのなら、検査でわからないところに原因があると考えるのが妥当でしょう。この「検査でわからないところ」の一番目がピックアップ障害なのです。

 

着床に関すること

 受精卵がよければ、その多くは問題なく着床します。よく子宮内膜が薄いと着床しないと言われますが、6ミリ程度あれば着床は可能です。 

 ただし、子宮筋腫や子宮腺筋症がある場合は、着床しても、その後に流産するリスクが高まります。 このように、妊娠を目指すうえで何が良くて、何が悪いのかを確認するためには、薬を使わない自然な状態での状況把握が大切です。薬の影響を受けない自然な状態で把握するからこそ、患者様の特徴をとらえ、適切な治療がおこなえるのです。

 

クリニックで目指していること

 多くの患者様にご来院いただいており、スタッフも増加しました。スタッフが増えても全員がクリニックの診療方針を理解し、共有できるように心がけています。 

 5月から経験豊かな信頼できる医師も加入いたします。 

 診療の待ち時間を減らし、より多くの患者様に、当院の治療を受けていただき、ぜひ卒業していただきたいと思います。

 

治療を検討している方へのメッセージ

 体外受精をすることに抵抗を感じている方は多くいらっしゃると思います。体外受精は、実は決して特別なことをしているわけではありません。 

 なぜなら卵子や精子が悪いから妊娠しないのではなく、卵子と精子がうまく体内で出会えないから、体外で出会えるように助ける、その方法が体外受精なのです。 

 ですから、気負うことなく、特別なことをしているとは思わず、ただ卵子と精子が会える機会をつくっただけと思って、治療を受けてほしいですね 。 

 また、迷っているなら私の外来に来てください。 

 本当に体外受精が必要なのか、必要ならどのように妊娠に役立つのか、理解し納得の上、治療に臨むことができると思います。 

 *体外受精の本質 
 ―卵子と精子が出会えないから出会えるようにする―

 *自然周期の本質
 ―自然に排卵する卵子が赤ちゃんになる卵子―  

これらの本質を感じながら、必要以上の薬を使うなど余計なことをせずに妊娠を目指すこと。 これが妊娠への近道になることでしょう。

 

患者様へのアドバイス

 現在の治療はつらくないですか?つらいと感じているのであれば卵子にもよくありません。体外受精をしても妊娠しないと、「卵子が悪いから」と話す医師も少なくありません。でも、不要な排卵誘発剤を使い続けることが状態を悪くしてしまうことにつながることもあります。卵子が悪いわけではなく、単純に卵子と精子が出会えていないだけかもしれません。自分を信じて、自信を持って治療を受けてください。 

 

あいだ希望クリニック 会田 拓也院長のお話 
2016年4月発行『i-wish ママになりたい 不妊治療のギモン