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取材記事

笑いの起こる勉強会

公開日: 2017-07-07

はなおかIVFクリニック品川 花岡正智院長のお話
『i-wish ママになりたい 不妊症と不育症』より

 

体外受精の知識をわかりやすく伝えるために日本一おもしろい勉強会を目指しています! 

 「これが体外受精についての勉強会なの?」実際に参加すると驚かれるかもしれません。卵子や体外受精についての話の合間、画面には趣味の飛行機の写真あり。

 トークには「機動戦士ガンダム」「ドラゴンボールZ」といった人気アニメや米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の話題が盛り込まれ、約90分の間に繰り返し笑いが起こるのです。

 でも、取材中、先生は言いました。「一見雑談と思えることも実は違うんですよ。今日のキーワードは時間です」勉強会に参加することで、今この時間、これからの時間をどう過ごすか。ご夫婦で考える機会になるのかもしれません。

 

体外受精について知らないのは当たり前。どんな治療かをわかりやすく伝えたい

■勉強会を通してどんなことを伝えたいと思っているのですか?

 体外受精はどういうものか、それををわかりやすくお伝えすることですね。

  初めて体外受精をするとなれば、「わからない」「知らない」のは当たり前のこと。

  それに、からだのなかで何が起こっているかを自分の目で見ることはできません。ですから体外受精の役割として、どの部分でサポートできるのかいろいろな話題を交えながら、わかりやすくお伝えしようと心掛けています。

  不妊治療は、どうしても女性がメインで、女性だけのものに思われがちですが、治療には夫婦ふたりの理解、協力が欠かせません。

  女性だけが努力してもお子さんはできませんから、普段なかなか病院に来られない男性のために、どんな治療が行われているのかを知ってほしいという目的もあります。

 

いつ、どんな目的で通院するのか治療スケジュールを知らせることが大切

■勉強会で治療スケジュールについて繰り返し伝えているのが印象的でしたが…。

 はい、意図してやっていることです。日々の治療で患者さんとかかわっていて感じるのは、「どんなスケジュールで治療が進んでいくのかを理解し合うことがとても大切」ということです。

  大半の患者さんは働いていますので、どれくらいの頻度で通院しなければならないのか。また、何のために、いつ来るのかを知っていると治療がスムーズに進みやすいと思います。 

 ですから、勉強会では「具体的なスケジュール」と「治療の背景」をお伝えしています。

 

チャンスを逃さないために体外受精のハードルを下げる 

■勉強会で目指していることはありますか?

  体外受精は患者さんにとって未知の世界ですから、その入口を開くこと。そして、体外受精を理解してもらい、ハードルを下げることですね。 

 ハードルが高いまま時間が経ってしまうと妊娠のチャンスを逃してしまうかも…。そういった問題を避けるために勉強会を開いて、必要としている方が安心して体外受精に進めるようにしたいと思っています。
 特に男性のハードルを下げることが重要ですね。

  女性に比べて男性は少しの情報しか持っていないと感じることが多くあります。女性は「もしかしたら何か問題があって子どもができないのでは…」と理解しているけれど、男性はまず自分に問題があるかもしれないなんて考えもしません。自分たち夫婦に体外受精が必要という実感は持ちにくい方が多いようです。

  勉強会に参加されると体外受精のことがよくわかりますから、ぜひ一度来ていただきたいですね。

 

正しく、新しく、必要な情報を得ることが重要

■自分で体外受精について情報収集している方もいると思いますが…。

 今は情報があふれている時代ですから、自分で知りたい情報を集めることは難しくはありません。ただ、その情報が本当に正しいものか、新しいものか、あるいは自分に必要な情報なのかを正確に判断するのは難しいことでしょう。 

 実際のところ、間違った情報を信じていたり、古い情報しか知らなかったりする方も多く見られます。ですから勉強会で正しく新しい情報を得てほしいですね。

 

勉強会はベースとなる知識を得られる場
さらに外来で質問を

■勉強会とは別に治療の際に質問することも可能ですか? 

  現在、勉強会では質問を受けることはしていません。個々のご質問については外来でお答えをしています。 

 ただ、勉強会でお伝えしていることは、もともと外来で質問の多かったことなのでベースとなる知識は身につけていただけるはずです。実際、勉強会を開催するようになって外来での質問は減っています。


一番多い感想は「話がおもしろい!」

■勉強会に参加された方からは、どのような感想が寄せられていますか?

  参加された方から寄せられる感想で圧倒的に多いのが、「話がおもしろかった」というものです。自分にとって、勉強会を実施している目的の1つは体外受精のハードルを下げることで、そのためには、そもそも話がつまらなかったらダメですからね。それがたとえ必要な知識だとしても、話がつまらないと、スッと入ってきませんよね。

  仕事で疲れているのに、わざわざ勉強会に参加して、それでつまらない話を延々と聞き続けるのは苦痛でしかないでしょう。医学的な話をするのだから、話はつまらなくても構わないなんてことはありませんよ。

  2番目に多く寄せられる感想は「体外受精に抵抗を感じていたけれど、そうした抵抗がなくなりました」というものです。意図は十分に伝わっているようで、私も安心です。

  ですから、これからも体外受精のベースとなる知識を、わかりやすく伝えるために日本一おもしろい勉強会を、さらに目指していきます。

 

今後は写真を活用して理解を深めたい

■勉強会で、今後、力を入れていきたい点はありますか? 

 生殖医療は専門性の高い治療分野です。そのために、施設内も培養室という特殊な部屋や設備があり、診療においては色々なシーンがありますから、それら現場の写真をより多く見ていただきたいと思っています。 

 勉強会では、胚培養士からも話をしていますが、写真を活用して顕微授精の様子なども、今後は積極的に紹介していきたいですね。とくに培養室については、入っていただくことができませんから、せめて写真でお伝えできたらと思っています。 

 本来であれば、からだの中で起きていることを体外で起こすということがどういうことなのか、みなさまに理解していただけたらと思っています。

 

告知はHPと院内でまずは知っていただくことが大事

■勉強会について、どのように告知しているのですか?

  勉強会についてはクリニックのホームページと院内で告知しています。参加されるのは当院に通院されている方が多いですが、まだ病院に通われていない方でも、体外受精をお考えの方なら、どなたでもご参加いただけます。

  年齢が若い方であれば焦って参加することはありませんが、体外受精がどのようなものかを知るために参加されるのもよいかと思います。

 

「子どもがほしい」そう思ったらクリニックへ

■最後に患者さんへのメッセージをお願いします。 

  当院は、お子さんがほしい方のためのクリニックであって不妊症の方のためのクリニックではありません。 

 不妊治療施設でありながらこのような言い方をすると変に思われるかも知れませんが、不妊症であっても子どもが欲しいと望まなければ、それは普通の健康な人とかわりません。ですから、やはり『お子さんがほしい方のためのクリニック』なのです。 

 そのような理由からも、みなさまには、お子さんがほしいと思われたときに来ていただければと思います。 また、年齢を気にされる方もいらっしゃいますが、確かに妊娠と年齢は深く関係しています。でも、年齢のことをいっても始まりません。

  今回の勉強会ではタイムマシンの話をしておりますが、私たちは過去に戻ることはできません。だから「さあ、これからの未来の話をしよう!」。そして夫婦で今を考える機会となる勉強会。そこにある私たちクリニック。 

 子どもがほしいと思ったらぜひ、クリニックに足を運んでください。

 

はなおかIVFクリニック品川 花岡正智院長のお話 

2016年1月発行『i-wish ママになりたい 不妊症と不育症