2007年秋、2つの学会を取材

Japan Society of Assisted Reproductio
第10回 日本IVF学会( 日本臨床エンブリオロジスト学会共催)を見学して



 平成19年9月29日〜30日、神奈川県横浜市みなとみらいにある『パシフィコ横浜』で開催された今回の学会は、メインテーマを「受精をさぐる」とし、日本臨床エンブリオロジスト学会とも共催、また今回はじめて発祥の地・関西を離れ、関東で開催されました。
 情報伝達の仕事をする私たちが、高度生殖補助医療・高度不妊治療の現場や業界を知るためには、学会取材は欠かせません。実際の治療現場での切磋琢磨を目の当たりにすることもでき、その様子を読者にお伝えできることは、ある意味、治療現場の進展に結びつくものとも自負します。
 今回も多くの企業展示から、薬剤をはじめ医療機器や器具、培養液などを見て、触れて、より安全性の高い、からだに負担の少ないものの開発やアピールを知ることができました。
 医療機関だけではない、さまざまな業種が不妊治療にかかわっているのです。

どんな学会なのでしょう

 日本IVF学会の顧問の1人は、英国のエドワーズ教授で、産婦人科医のステプトー博士とヒトの体外受精を初めて成功させた方です。初の体外受精児の女性も昨年自然妊娠で子どもを出産したといい、また体外受精により生まれた子ども達は、世界に200万人いるともいわれています。

 IVF学会は、ARTに特定した学会で、平成5年よりスタートした大阪兵庫IVF懇話会を基盤に日本IVF研究会へ発展し、平成19年(今年)に日本IVF学会と改称しました。
 学会理事長は、森本義晴医師、今回の学会長は柳田薫医師です。

ポスターセッションから

 さまざまな治療施設から、各々の研究結果や調査結果、事例などが発表されます。
 現在では、移植胚の評価については、形態を基準とした評価をしていますが、これは観察者によって評価が異なり、客観性に欠けています。このため胚の呼吸量を測定し、形態評価に加えれば厳密評価することができるのでは?と仮説をたて実施し、その結果、形態と呼吸量には一定の相関関係があり、胚の品質の評価ができるという発表もありました。
 そのほかに「単一胚移植による多胎妊娠予防の取組」に関する発表も多く、また通常のICSIは400倍下顕微鏡で正常形態精子を選別しますが、これを6000倍から12500倍に拡大して精子を選別して顕微授精を行なうIMSIについての発表などもありました。

参加企業は?

 企業展示は、27社ありました。
 1つ1つの企業を回っていると、不妊治療現場の一端を垣間見ることができます。スタッフが多くいるところばかりではありません。少ないスタッフで効率良く、また安全に行なうためには、それなりの道具が必要になります。そしてよりリスクの少ない医療にするためには、1つ1つの製品の品質、原材料にこだわることも大切です。
 何か1つを生み出すということは、大変な努力と時間が必要になります。「ここをこんな風に改良してくれたら、もっとやりやすくなるんだけどノ」そんな医療現場の声に、どれだけ企業が応えることができるのかも大切なことなのだとある企業の方が熱く語っていました。


Japan Society for Reproductive Medicine
第52回 日本生殖医学会を見学して



 平成19年10月25日〜26日、秋田県の秋田県民会館&秋田キャッスルホテルで開催されたのが日本生殖医学会です。開催地が遠方とあり、飛行機利用の関係者から、新幹線組と交通機関も話題です。中には東京から車で十和田湖辺りまで足を伸ばして景色を満喫したという羨ましき人もいたようです。いずれにせよ、新幹線『こまち』の車窓に紅葉の景色を見入ったもの、上空から紅葉のじゅうたんを見たもの、景色や食も付随して秋田が賑わった数日間でした。
 会場が2つに分かれていたため、県民会館とキャッスルホテルを行ったり来たりしながらの取材。ホテル会場もフロアが分かれていたため、いくつもの部屋に企業展示があったりポスター展示会場が最奥と、「どこに何があるの?」「あれ、ここは見てないな」と、会場を右往左往。しかし、いろいろな先生や企業人に会えることは、参加者のこころにもう一つの紅葉を深く刻んだに違いありません。
 前回の学会で気になっていた企業や製品について、今回の学会で再チェックできたこともラッキーです。

どんな学会なのでしょう。

 1955年に設立した社団法人日本不妊学会は、満50周年を迎えたのを機に「社団法人日本生殖医学会」に改称しました。この学会は、今回の学会誌の冒頭、会長あいさつにもありますが、生殖医学の発展と生殖医療の技術革新のために、不妊治療の枠を超え、不妊専門医、看護師、カウンセラー、胚培養士、生物学者、獣医学者、泌尿器科医、産婦人科医が一堂に会して集まります。
 この学会の目的は、「人類および家畜の生殖と資質の向上に関する共通の理論およびその応用の研究について、研究業績の発表、知識の交換、情報の提供などを行ない、もって学術の発展と人類の福祉に寄与すること」と謳っています。

ポスターセッションから

 多胎の症例報告、特異な妊娠の症例報告などから単一胚移植の重要性を発表したもの、単一胚移植の成績や1個胚移植と2個胚移植の成績と医療コストの比較など単一胚移植に関する発表が多くありました。
 また高齢の患者に対する治療方法、また治療の終着、限界に関すること、子宮内膜症患者の治療方法、精子の調整方法に関することなどがありました。
 治療の限界についての発表では、「今回の検討では、ARTの結果を左右する因子は年齢のみであり、44歳以下の症例の不妊治療は行なうに値する、45歳以上の症例については、流産や合併症につき、より厳しい説明を行なうべきと考えられる」と結んでいます。また他の発表でも「年齢の高い患者で精液所見の結果が良くない症例は、早期にARTへの移行が必要である」と発表しています。

参加企業は?

 昨年の生殖医学会を機に知り合った企業の最新型インキュベータがお目見えしていました。インキュベータ内に監視カメラがあり、24時間胚の成長を観察することができるものです。デモで流されている胚の成長を見ていると、分割をしていく様子がよくわかります。また形態の変化も観察できるので、胚の形態評価に関しても院内の培養スタッフ全員で、それを見て検討することもできるでしょう。
 運動性の高い精子を選び出す方法もさまざまです。遠心分離器にかけ、比重の違う精子調整用液を使用せず、本来の精子の動きに着目し、DNA損傷精子を作らない、精子に優しいピックアップ方法もありました。

学会では、多くの講演やセミナー、質疑応答等が行なわれ、今ある情報が発表されます。



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