『日本の体外受精をゼロからスタートさせ、成功に導いた草分け・吉村院長が診療するのがベアータ・クリニックです』
同クリニックは横浜駅西口から歩いて5分。交通至便な場所にある気楽な面持ちで通えるクリニック。扉の「こうのとり」マークが、なるほどここが治療施設であることを伝え、一旦その扉の中に入ると、院内は爽やかなペパーミントグリーンに統一され、女性スタッフが小気味よく出迎えてくれます。
ベアータ・クリニックは、開業して今年で7年。不妊外来のほか、月経不順や更年期障害、癌検診・妊婦検診などの一般外来、第一土曜の午後は男性不妊の診療を行なっています。
ここに神奈川県内はもとより、長野や静岡からも患者さんが通ってきて、その多くが『ここでなければだめ』という患者さんとのこと。院長の話をお伺いするうちに、その理由が少しずつわかってきました。
妊娠への道からはずれた患者さんを
本来の姿に戻してさしあげる
「不妊の患者さんは、病気かというとそうでないところがありますから、ちょっとしたことが原因となって妊娠できないでいる方が多いのです。この妊娠への道から少しだけはずれてしまった患者さんを、私たちがしっかりサポートして本来の姿に戻してさしあげるのが、不妊治療の基本なんです。
実際の治療では、障害になっているものを取り除き、不足しているものを補い、患者さんが本来持っている妊娠するための力を引き出すことができます。治療はあくまでもそのアシストであるというのが私の考え方です」
と、意外にもナチュラルな先生の言葉に、今、世間で騒がれる成功率だの何々方法とやらで、背を突かれるような話題優先の不妊治療の世界が、ほっとした安心感を持って受け止められます。
さらに、患者さんの中には『自然周期のままの治療よりも排卵誘発剤を使った方が高級だ』と勘違いされている方も多いそうですが、このような方にも先生は、『する必要のない方にはしない方針をハッキリ伝え、的確に患者へのリスクを避けている』とのことです。
たとえば飲み薬の排卵誘発剤には、副作用として子宮内膜が薄くなったり、子宮頸管粘液の分泌量が少なくなることがあり、こうした副作用が出る患者さんに処方すると、着床しにくくなったり、精子が子宮に入っていけなくなって、妊娠しにくい状態を作り出してしまい、もともと妊娠しにくい患者さんを、さらに治療によって悪化させてしまうそうなのです。
最初に「患者さんありき」
大事なのは一人ひとりに合った治療方法の選択
「患者さんへのリスクを避け、的確に治療を促すために大切なことは、一人ひとりに合った治療法の選択です」
と、先生の熱心な話はさらに続きます。
「検査に関しても、たくさん検査をすればよいというものではなく、その患者さんに必要な検査を適確に行なって初めて意味を持つのです。不妊治療の世界では、教科書通りの治療では何年経っても妊娠できないという最悪の結果を招くことにもなりかねません。大事なのは最初に患者さんありきで、個人個人に合った治療方法です」
自然周期のタイミング法でも体外受精でも、
目指すゴールは同じ妊娠
「ただ、ゴールに至るコースが一人ひとり違うだけなのです。どちらの治療が上でどちらが下などといった位置づけはなく、すべての不妊治療は同等。方法の差なのです」
そう話す先生を前に、少しずつ遠くからでも通う患者さんの気持ちがうなづけてきました。
初診時は個々のカップルに直接説明し、
納得のいくまで質問をしてもらう
「カップルごとに症状や障害となっている原因がそれぞれ異なるので、初診時にじっくりお話を伺い、また説明をします。その大きな理由は一般論をお話するよりも、そのカップルに即した説明を個々にした方が理解が深まるからです。
患者さんがご自身の病状について把握され、それに対する治療法を理解することが一番の精神的なケアにつながると思っているんですよ」
このように語る先生は、最近、インターネット上で患者さん同士が治療についてアドバイスしあっているのに、危険を感じるときがあるそうです。間違った知識や思い込みなどによって、大事なチャンスを逃すようなことがあれば残念ですものね。
ベアータでは、そうならないためにもスタッフに質問や要望を直接ぶつけてもらい、納得のいくまで話すのだそうです。
院長自らがレイアウトした院内には、
患者さん思いの配慮が随所に
先生の話を伺った後、院内を案内していただきました。
廊下を隔てて、左側は一般外来の診療、右側は体外受精のスペースと、機能的に2つに分けられています。体外受精のフロアには採卵、培養、顕微授精、凍結などを行なう広い手術室があり、その手前には採精室があります。
採精室にある小窓から容器を回収する仕組みで、これは吉村院長のアイデア。男性が容器を持って外を歩かなくて済む配慮は納得もの。
工夫はさらに‥。